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14日中にすべりこみ…できるかと思ってたら、少々間に合いませんでした。くそぅ。orz
さて、14日が過ぎて20分近く経っちゃってますが、せっかくなのでお構いなしに(ちょっとは気にしろ)アップします。
賞味期限切れてるけど読んでやんよ、という優しいかたは続きへどうぞ~。
【STEAL!】バレンタイン小ネタ(2010.02.14)←過ぎたけどorz
授業の後、作戦室に集まって皆で前回のミッションに関する意見交換をしているときに、その事件は起こった。
「…確かに、桐生の指摘通り、侵入の際のフォーメーションに少し問題があったな」
「まぁ、結果オーライってことでいいんじゃないですかぁ?それにディオとにゃんこにはあの時、別の仕事をしてもらわなきゃならなかったわけですし……って、そういえばディオはどうしたんです?」
「あ、用事があるからちょっと遅れるって言って、ここに来る直前に別れたんですが、そろそろ来ると思います」
眞鳥の問いに明日叶が生真面目に答える。
「そうか」と頷いた亮一が、
「あと、ヒロと興もまだだな。あの二人はどうしたんだろう」
と首を捻ったそのとき、ドアが思い切りよく開けられた。
丁度話題にのぼったばかりの二人、ヒロと興が大きなケーキを持って立っていた。
「ジャジャーン!ボクとはじめちゃん特製の、バレンタインケーキスペシャルデコバージョンだよ~!」
そんな弾けるように明るいヒロの言葉で、意見交換という名の反省会はお茶会に姿を変えた。
「ね、明日叶ちん。食べて食べて!」
きらきらと目を輝かせたヒロが、大きく切り分けられた一切れを明日叶にずいと差し出してきた。
「え…」
明日叶は目を瞬かせた。最初に自分が食べてしまってもよいものだろうか。
「…いいのか?」
そっと問うと、「もち!」と満面の笑みが返ってきた。
「だーって、これは元々明日叶ちんのために作ったようなもんだもん。後のやつらはオマケオマケ」
「ヒロ…いや、それは…」
あまりの言い様に少し頬を引き攣らせながら、明日叶はケーキ皿を受け取った。
目の詰まった焦げ茶のケーキの上に、とろりとした白い生クリームが惜しげもなくかけられている。そこに、飾りの楕円形のチョコレートがうまく配置されていて、まるで店でオーダーして出てきたものみたいだと明日叶は素直に感心した。
さらに一口食べた明日叶の顔が無意識のうちに綻んだ。
「おいしい…」
「よかったー!明日叶ちんにそう言ってもらえたら、作った甲斐があるよ~。ね、はじめちゃん」
「うむ」
そんな二人を微笑んで見ていた明日叶は、さらにもう一口とケーキを食べ始めた。
何だかんだ言いつつも、結局全員分の皿とフォークが用意していたヒロにより、メンバー分のケーキが切り分けられていたとき、不意に、明日叶の首ががくんと折れた。
「おい、明日叶?」
明日叶の左隣に座っていた慧が、すぐに気付いて声をかける。
「ぅ~…」
唸っているようだ。あるいは何か言っているつもりなのかもしれないが、いかんせん発音が不明瞭すぎて何を言っているのかさっぱりだ。
「大丈夫か、明日叶」
慧が肩を軽く揺すると、反応するように、明日叶が顔を上げた。
「んー…?なに?」
目がとろんとしている。おまけに少々舌ったらずな言葉遣い。
「おやまあ。…ちょっと、にゃんこ。アンタ何か仕込みました?」
眞鳥がやれやれと言いたげな視線をヒロに流すと、ヒロは慌てて首を大きく横に振った。
「ちょっ!冗談でしょ!何か仕込むなら明日叶ちんと二人っきりのときにやるに決まってるっしょ……じゃなくて!やってないって!」
「ま、そうでしょうねぇ。こんなメンバー全員いるところで一服盛っても、どーしようもないですもんねぇ」
「でしょでしょ!?」
「てぇことは、まさか…アルコールに酔った、とか?どうですか?亮一クン」
「アルコール…?ちょっと待ってくれ」
亮一がまだ切り分けられていないケーキに近寄り、デコレーションされたチョコレートの粒を手に取り、くんくんと嗅いだ。
「なるほど。確かにそうかもしれない」と呟く。
「ええっ!?でもそれ、香り付けにちょっとリキュール入れただけだよ!?」
「確かにそれほどアルコールがきついわけではなさそうだけど、明日叶が恐ろしく酒に弱いという可能性もある」
チョコレートを口に入れて確かめている亮一の、ケーキを挟んだ向こうから、明日叶が妙にはしゃいだ声をあげた。
「だーかーらーだいじょーぶだって、言ってるだろー?よってなんか、なーい。けいはー、心配性なんだからー」
「明日叶ちん…それは間違いなく酔っ払いの台詞だね……って、あああああ明日叶ちん!ちょっと!何してんのー!?」
明日叶の言葉に即座につっこもうとしたヒロの、突然の絶叫に全員の視線が明日叶と慧に集まり、かちんと固まった。
「けいはあったかいなー」
あはははと笑いながら、明日叶が慧にぴったりと抱きついていた。
抱きつかれた慧はと言えば、
「……」
無表情のまま固まっている。
動揺していないのではなく、動揺しすぎて表情に出す余裕もないのだと推測された。
「あはは。けい、へんな顔ー」
傍目には無表情にしか見えないが、さすがに幼馴染である明日叶には、その表情は少し違ったものに見えているようだ。
けらけらと上機嫌に笑った後、明日叶は何か良いことを思いついたような顔で笑った。
「そういえば今日はばれんたいんだろー?感謝とか、つたえる日。けい、いつもお世話になって、ありがとー」
未だ固まったままの慧の頬に唇を寄せ、ちゅっと軽くキスをした。
「ぎゃー!!」
と二重奏で叫んだのは、ヒロと太陽。
その奥で「おやおや、これはこれは」と楽しげに眉を上げた眞鳥が、ヒロと太陽の叫び声の中を通り抜けて優雅な足取りで明日叶に近付いてきた。
明日叶の顔をのぞきこみながら、にこりと笑う。
「ねぇ、明日叶。オレにも、感謝とかしてくれてたりします?」
「もちろん、まとりさんにも感謝してます!」
いつもでは考えられないぐらいのノリの良さで元気よく答えた明日叶は、眞鳥の頬にもキスを贈った。
その後、何をどう思いたったのか、ふらふらと立ち上がった明日叶が自主的に全員の頬にキスをして回り、終わったところで、実にタイミングよく作戦室のドアが開いた。
「わりーな。遅くなって」
赤毛の長身の男が作戦室に入り――入ってくるなり不機嫌そうに眉を顰めた。
「ああ?こりゃ、どーゆー状態だ?作戦室のど真ん中にでかいケーキがあるのはいいとして…お前ら、明日叶に何したんだ」
どこか疚しげにディオから目を背けるメンバーの中、明日叶ただ一人がふわふわと笑いながらディオに軽い足取りで近付いた。
「…酔っ払ってんのか。酒…は持ち込んでねーみてーだから…大方、ケーキに入ってたアルコールにでも中てられたか。どんだけ酒弱いんだよ、お前」
溜息を吐いて、危なっかしい足取りの明日叶の肩を支える。そんなディオの顔を、明日叶はじっと見上げた。
「でぃお」
ふわりと微笑む。
「…っ」
ディオは思わず息を呑む。そのせいで反応が遅れた。
まるで隙を突くように肩を支えるディオの腕をすり抜けた明日叶が背伸びをしてディオの首に腕を絡める。
そのまま伸び上がって、ディオの唇にちゅっとキスをした。おまけにそれこそ子猫のように、ぺろりとディオの唇を舐めて、
「だいすき」
と笑った。
暫し、作戦室内の時間が止まる。
当事者である明日叶だけは、何を気にした様子もなく、当たり前のようにディオに抱きついて、すうと寝息を立て始めたが。
当事者の片割れのディオはと言えば、暫く硬直して、それでも五秒後には復活して明日叶を抱き上げたのはさすがと言うべきか。
そのまま作戦室を出て行ったディオと明日叶を見送った後、部屋の中には、ケーキだけのせいではない甘ったるい空気と、妙な敗北感が残された。
「あー…。明日、明日叶が起きてこられない、に千点、ですかねぇ」
「じゃー、明日、ボクたちがディオに何か報復される、に千点…って冗談じゃないって!」
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明日叶が超酒弱いという設定で書いてみました。